赤ちゃんこどもの「風邪」について②

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赤ちゃんこどもの「風邪」について②

こんにちは。院長です。

前回の「赤ちゃんこどもの「風邪」について」の続きを書いていきたいと思います。

 

抗菌薬について

じきはらこどもクリニックの院長をしているときは、時々しか感じることがありませんでしたが、

PASSOを開業してからは、抗生物質乱用されすぎている印象のある患者さんを、ちょくちょく見かけます。

 

お薬手帳を拝見すると、オラペネムなんて、重症児にしか使わないような抗菌薬をガンガン使われている患者さんや、

効かないからと23回と抗菌薬の処方を受けている患者さんを見かけます。

お話を伺うと、中耳炎だから、とか、鼻水が続くから、と、抗菌薬をもらっています。

 

本来、小児科では抗菌薬は1100人風邪の患者さんを診て、10人も出しませんし、5人程度しか必要ないとされています。

つまり、ほとんどの場合、その抗菌薬は必要ないんです。

 

腸内フローラや、善玉菌、腸内環境というフレーズ、皆さん気になりますよね。

ヨーグルト食べてみたり、食物繊維を気にしてみたり。栄養バランス考えたり。

 

腸内環境は発達障害や睡眠障害、ストレスに影響すると言われ、便移植で発達障害を治す研究もされています。

また、アレルギーとの関連も良く指摘されていますよね。

しかし抗菌薬の過剰な投与により、腸内のフローラや善玉菌も殺菌され、腸内環境が乱れる可能性があります。

 

3歳までは人格形成や脳への影響も大きいと考えているため、積極的な抗菌薬の使用はお勧めしません。

そのため、国も抗菌薬を使用しないことを説明することで、診療報酬をUPしてくれています。

(PASSOではかかりつけの方だけなので、ほぼもらっていませんが・・・)

 

二つ目、聴診について

実は1歳未満の鼻水については、20%が気管支炎になるようなRSウイルスなどの風邪ウイルスがいるため、少しでも咳があれば、かならず聴診が必要です。

 

泣いている子供たちの聴診は本当に難しいです。

なので、小児科医は子供を泣かせることを嫌がります。

必要のない検査や手技をしないことで、怖がらせないこと、クリニック嫌いにしないことを大切にしています。

 

必要のない検査はしませんし、1歳のお子さんに溶連菌の検査をすること、3歳以上のお子さんにRSウイルスの検査をしたりは本当に必要ないですね。

脱線しました。

 

聴診でよく見つけるのが、喘鳴です。

よく"ぜーぜー"していると小児科医が言って吸入したり、ホクナリンテープを処方したりします。

実は喘息と同じことが起きているので、"喘息"だね、とか、"気管支が弱い"などと言われたりします。

ほとんどの場合が、気管支炎と思って間違いないです。

 

でもね、これって怖い状態だったと知っていましたか?

 

"喘息"といわれると"どきっ"としますよね。

なので、このフレーズを使う小児科医の先生は多いと思います。

なぜなら、気管支炎というと軽い気がするから。

 

気管支がもともと細い乳幼児期には、少し粘膜が腫れるだけで閉塞します。

これが"ぜーぜー"です。繰り返しやすいお子さんが1/3程度はいるとされており、子供たちはどんどん慣れてしまいます。

そうすると、咳がでないように遊ぶ癖がつきます。

強くなって"咳"をしなくなったのではなく、"咳"をしないのに、悪化しているわけです。

 

で、この状態が続くとどうなるか。

 

答え:肺が壊れていきます。

 

怖いですよね。なので、この"ぜーぜー"を見つけることが大事なんです。

 

子どもたちは緊張すると呼吸が浅くなり、思ったように呼吸しないのが、普通です。

さらに実は喘鳴があるときは"ぜーぜー"すると苦しいので、浅く呼吸しています。

3歳以上であれば、風車などを吹かせたり、あおむけに寝かせると聴診できます。

小さいお子さんは腹部を圧迫することで、深呼吸させて、聴診したりします。

3,4呼吸聞いてみないと聞こえないことも良くあります。

 

咳が少しでもあるときは、なるべくしっかり聴診してもらいましょう。

1回でも"ぜーぜー"したことがあるお子さんは、その旨、医師に伝えましょう。

 

これってどうなんだろう?と思った症状があれば、お気軽にご相談ください。

外来・発達相談 | 2022.01.30

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